コラム

2011-11-28

再生民家で暖かく暮らす

こちらの建物は民家の土間を蓄熱のために利用しています。



ダイレクトゲインのパッシブソーラーハウスでは、床をコンクリート・タイル・レンガなどの熱容量の大きな素材で仕上げ、上の写真のように冬の日照を土間面に直接当てて暖めます。床の仕上げは石蔵などに使われ、断熱性能もある大谷石を使用しています。
開口部の気密・断熱性能も上げて熱を逃がさないようにします。夜間室温が下がると、大谷石に蓄えた熱が床から放熱されて部屋を暖めます。
さらにここでは床下の空間を利用して暖房器具を設置しています。



イラストのように、暖房機からの温風により基礎コンクリートを暖めます。コンクリートが冷めないように基礎を外気に面する部分で断熱しています。床下の空間はすべて一つながりになっていて、室ごとに暖房器具を設置する必要がありません。建物全体を床下から穏やかに温めることで、足元が冷えることなく良好な室内温度を得る事が出来ます。
そして、大きな屋根面も民家の特徴の一つです。真冬であっても日中の日差しは暖かい、薄い鉄板で葺いた屋根裏の空気も温室のように暖かくなります。暖まった空気は屋根面に沿って上昇し、屋根の一番高い棟部に集まります。ある一定の温度(この場合は20度)を超えるとセンサーの働きで換気ファンが稼動し室内に温風を吹き出すしくみとなっています。
さて、一部屋だけ暖めても、建物全体の環境は好転しません。また各室間での大きな温度差の存在は冬の夜や明け方、高齢者が浴室やトイレで倒れるヒートショックの原因になるといわれています。そうした危険を避けるためにも、まずは建物全体を断熱し、建物内各所の温度差を小さくするような計画を立てることが重要です。その上で使い勝手や設置費、そして維持管理費などを総合的に判断し、床暖房・エアコン・ファンヒーター・電気式蓄熱暖房機などの暖房器具を選択することが望ましいでしょう。現代の建設行為においては資源問題だけでなく地球温暖化といった環境への配慮も欠かせません。民家を形作ってきた伝統的な素材は室内熱環境の課題を解く上でも大きな可能性を備えています。そうした観点も踏まえて、民家の構造や空間の魅力をさらに活かすような建物全体のシステムとして暖房計画を考えてみてはいかがでしょうか。




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