コラム

 公開日: 2016-09-17 

電力自由化とは?完全自由化までの経緯

電力自由化という言葉をよく耳にするものの、その内容を詳細に把握している人は思った以上に少ない印象です。今年に入って、個人や商店などに向けた電力小売りが自由化されましたが、実は電力自由化は今回が初めてではありません。

電力は、「特別高圧」「高圧」「低圧」と段階を追って自由化されており、その経緯を知ることで、電力会社や最適な料金プランの選定に役立つこともあります。この記事では、電力自由化の経緯について説明します。

電力自由化は「特別高圧」からスタート

最初の電力自由化は、約20年も前のことです。きっかけは、欧米諸国などと比較して割高である電気料金の是正です。1995年に電気事業法が改正となり、「独立系発電事業者」と呼ばれる発電所が地域電力会社、例えば東京電力や東北電力などに電気を販売できるようになりました。

それまでは、地域電力会社が「発電」も独占しており、自分たちで電気をつくって販売していましたが、この改正により「発電」についてはほかの会社が参入できるようになりました。

次の電力自由化は1999年。電気事業法が再度改正され、一部の顧客に対する「小売り」が自由化されました。このとき、「特定規模電気事業者(PPS)」と呼ばれる業者が参入しました。彼らは、大規模工場や高層オフィス、大学など大量に電気を消費する顧客に電気を販売し、利益を得るようになりました。

ただし、このときはいわゆる「特別高圧」と呼ばれる顧客向けの電力小売りが自由化の対象でした。地域電力会社の独占は崩れたものの、彼らのドル箱である個人や商店などは相変わらず地域電力会社のみが電力を供給していました。

次に自由化されたのは中小規模工場や中小オフィスビル向けの「高圧」

そして、2003年にも電気事業法が改正され、今度は「高圧」と呼ばれる顧客向けの電力小売りが自由化されることになりました。「高圧」の顧客は中小規模工場や中小オフィスビル、スーパーマーケットなどです。この改正により、日本の電力販売量の約6割が自由化されることになりました。

少し難しい話になるのですが、このとき「日本卸電力取引所」も設立されました。電力会社やPPSなどが出資する私設の取引場のことで、電気を現物として取引する場所として機能しています。こうした取引所ができたことにより、電気の安定供給が無理なく行われるようになっていきました。

2016年家庭や商店などの小口利用者向けの電力が自由化された

これまで「特別高圧」「高圧」と自由化が進み、残すは家庭や商店、町工場などの小口利用者だけになりました。この小口利用者は50kw未満のいわゆる「低圧」と呼ばれる電力を使用しています。

2011年に発生した東日本大震災を契機に、日本の電力会社の在り方が議論されるようになり、小口利用者向けの電力自由化が議題にのぼるようになりました。

具体的には、2013年から電気事業制度改革が政府内で検討され、電力自由化は最終段階を迎えます。2015年には「広域的運用推進機関(広域機関)」と呼ばれる、全国レベルで電気の需要と供給を調整する機関が誕生、電力自由化へ大きな一歩となりました。

「広域的運用推進機関(広域機関)」は、電気の受給を調整するほか、風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーによる電力の管理なども担うことになりました。これまで、地域電力会社がそれぞれ担当していた電力需給業務が広域機関に移管されることになったのです。

電力自由化の経緯を知ることが電力会社の選定にも役立つ

今年、家庭や商店、町工場などへの電力供給が自由化されることになりました。これにて、電力の完全自由化が成し遂げられたわけです。私たちは、地域電力会社以外からも電力を自由に購入できるようになりました。

自由化の対象となる小口利用者は、約8,500万件で日本の電力使用量の約40%を占め、市場規模は8兆円とも言われています。この巨大市場が開放されたことにより、地域電力会社だけでなく、通信系や石油系、ガス系などさまざまなプレイヤーが市場に参入することになりました。

参入にあたり、それぞれの会社が独自の強みを打ち出しているケースも多々見られます。

近年は、コンビニエンスストアやガソリンスタンドなどでは、ポイントサービスがめずらしくありませんが、新規参入組のなかにはこのポイントサービスと連携させてサービスを提供する例も出てきました。

新規参入が増えることは、私たちにとってメリットのあることですが、プランが複雑化しわかりにくいという声が上がっているのも事実です。また、小口利用者向けの電力自由化は今年行われたことから、対応に苦慮している人がいるのも事実です。電力会社を変更したものの、解約違約金の存在があることなどから、損をしてしまう例も見られます。

電気は生活、ビジネスに欠かせないものです。電気料金が変わるだけで固定費が圧縮できます。電力自由化の経緯を知れば、どんな電力会社が存在するか理解でき、電力会社の選定にもきっと役に立つはずです。損をせず納得して電力会社を選ぶためには、経緯を知りつつ、第三者に意見を求めるのも一案でしょう。

この記事を書いたプロ

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電気工事士 降矢健一

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