コラム

 公開日: 2016-09-23 

新電力(PPS)が電力を供給する仕組み

新電力(PPS)に切り替えると、電気料金が安くなることはこれまでのコラムでもお伝えしてきました。
たとえ停電になっても、ほかの電力会社が電力を供給する仕組みを採用していることから、電気が使えなくなる事態が起きる心配もありません。

新電力(PPS)に変えたものの、停電が起きるなど電力の安定供給に支障を来しては意味がありません。

それに、電気の質が落ちても困るでしょう。実際はそのようなことはないのですが、懸念している人がいるのも事実です。しかし、新電力(PPS)がどのようにして電力を供給しているのかを知れば、その心配もなくなるはずです。

新電力が電力を供給できるのは地域電力会社があるからこそ

新電力が電力を供給している仕組みをみていく前に、既存の電力会社、つまり地域電力会社(東京電力や東北電力など)がどのようにして電力を供給しているか理解することが必要です。まず、当然のことですが、電力を供給するためには、電気を作り出さなければなりません。

全国には、水力発電所や火力発電所、そして原子力発電所などさまざまな発電所があります。これらの発電所は、地域電力会社の所有物であり、多大なコストをかけて建設したものです。あるいは、大型発電所を持つ卸電気事業者と契約して電気を調達する例も見られます。

これらの発電所で電気は作り出され、地域電力会社が所有する送電網を経由して、各事業所に電気が届けられます。この送電網も地域電力会社の所有物です。ですから、地域電力会社はかなりのコストをかけて事業を行っていることに気づきます。

地域電力会社は、「電力を安定供給する」という責務を負っているだけに、電力供給のインフラの構築についても責任を負っていると考えてよいでしょう。

新電力が電気を供給する仕組みについて詳しく解説

ここまで地域電力会社が発電や送電する仕組みを説明しました。一方、新電力(PPS)はどのようにして発電や送電を行っているのでしょうか。ひとつずつ順を追って説明します。まず「発電」から始めましょう。

地域電力会社は原子力発電所ほか、自社で所有する発電所で電気を作り出しています。新電力(PPS)は、このような設備を持たないことから、何らかの方法で発電することが必要になります。

最近は、人々のエコ意識の高まりもあって、風力発電や太陽光発電など自然由来の発電が注目されています。
新電力(PPS)のなかには、ソーラーパネルを大量に設置して発電を行う、メガソーラーと呼ばれる事業者もいます。地域電力会社のように、大規模な発電所を建設する余裕はないため、新しい発電法に頼るケースも多々見られます。

それから、「余剰電力を買う」というケースも実はよくあります。町工場などでは、自家発電設備を所有していることがたびたびあります。こうした町工場から余剰電力を購入し、送電するのです。

清掃工場などゴミの焼却に伴う熱エネルギーが大量に発生する場所では、火力による発電が期待できます。
実際、清掃工場でも自家発電施設を持っているケースが多々あります。発電した電気をすべて自分たちで使えれば余剰電力はなくなりますが、そうはいきません。だからこそ、新電力(PPS)は余剰電力を購入できるわけです。

電力は、基本的に貯めることができない性質のものです。ですから、発電したらすぐに送電することが必要です。町工場や清掃工場では、たとえ発電できたとしても、すべての電力をその時に使用するのは困難です。電力自由化は、余剰電力を売りたい町工場と買いたい新電力(PPS)双方にとって実はメリットのあることなのです。

それに前にも触れた通り、エコ意識の高まりが大きく影響しています。廃棄物処理工場などでは、サーマルリサイクルを行っているケースもあり、「環境にやさしい」というアピールが企業成長に役立つこともあります。

停電も電気の質低下も心配無用

次に「送電」の仕組みについて見ていきましょう。

新電力(PPS)が、これから多大なコストをかけて全国に電線網を張り巡らすのは困難です。ですから、送電網は地域電力会社が所有しているものを借り受けているのです。

地域電力会社はこれまで電線のメンテナンスなども手がけていることから、電線が劣化して電気が届かなくなるという心配もありません。電気の供給会社が異なるだけで、送電の仕組みは変わらないということは覚えておきましょう。

新電力(PPS)の電気料金は安いものの、電気の質が悪いのではないかと懸念する人もいるかもしれません。実際は、そんなことはありません。地域電力会社であっても新電力(PPS)であっても供給する電気の質は「変わらない」というのが結論になります。

というのも、電気は主に「特別高圧」「高圧」「低圧」とありますが、それぞれ規定の電圧と周波数があります。その規定に達しなければ、基本的に送電できない仕組みになっているため、質の悪い電気が届くことはないと考えてよいでしょう。つまり、これまでと使っていたものと同じ電気が送られてくるという話です。

結局のところ、地域電力会社と新電力(PPS)では、「発電」部分のみ違いがあるとわかっていただけたでしょう。停電や電気の質の低下の心配もなく、電気料金を安くできるのなら、検討する価値があるでしょう。

この記事を書いたプロ

ビッグアドバンスサポート

電気工事士 降矢健一

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