コラム

 公開日: 2016-10-28 

人間と社会の領域 ①人間の尊厳と自立 その2

1-2 介護における尊厳の保持と自立支援

■人権について
①基本的人権
 日本国憲法では、以下のように基本的人権が規定されている。
 平等権(第13条・14条・24条)  個人尊重・法の下の平等・男女の平等
 自由権(第19条・20条・21条)  思想の自由・信教の自由・表現の自由など
 社会権(生存権)(第25条)     健康で文化的な最低限度の生活を営む権利
 基本的人権を守るための権利(第15条・16条・32条)
                       参政権・国に願い出る請願権・裁判を受ける権利
②人権尊重のために介護福祉士に求められる義務
 利用者の尊厳の保持、自立支援のため、介護福祉士に求められる義務として以下に規定されている
 *社会福祉士及び介護福祉士法(第44条2~第47条の2)
 ・誠実義務
 ・信用失墜行為の禁止
 ・秘密保持義務           正当な理由がなく、業務で知り得た人の秘密を漏らしてはならな
                      い。介護福祉士でなくなった後においても同様である。
 ・福祉サービス関係者との連携   福祉サービス関係者等との連携を保たねければならない。
 ・資質向上の責務

■権利擁護とアドボカシー
①権利擁護
 介護福祉士は、介護にあたって、利用者の権利擁護を意識する必要があります。その際には、「利用
 者本位」の支援姿勢を徹底的に貫くと同時に、利用者の家族など、周囲の人々の権利擁護も意識
 しなければならない。
②アドボカシー
 権利擁護や代弁(アドボケート)の意味で用いられる用語。利用者が自分の権利やニーズを表明するこ
 とが難しい場合は、介護福祉士などが代弁し、権利擁護に努める必要がある。
 権利擁護の制度としては、日常生活自立支援事業や成年後見制度がある。
③エンパワメントの視点と自己決定
 利用者やその家族が、権利侵害に気づかなかったり、あきらめから権利主張を抑制したりする場合があ
 る。そのため、介護福祉士はエンパワメントの視点を持って介護にあたる必要がある。そして、最終的に
 は自己の権利を意識した利用者の自己選択・判断と自己決定を最大限に尊重することが求められる。
④ソーシャル・インクルージョン
 社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)の状況を解決しようとする理念として、今日的な「つながり」
 の再構築をめざす社会的包摂(そーしゃる・インクルージョン)がある。

■権利侵害
①虐待
 故意の虐待はもちろん、無意識のうちに起こってしまう虐待にも注意が必要である。身体拘束も虐待の
 一種とされ、緊急やむを得ない場合を除き、原則禁止されている。
 *虐待の種類は5つ
 1)身体的虐待
 2)介護放棄放任(ネグレクト)
 3)心理的虐待
 4)性的虐待
 5)経済的虐待
 *頻出  緊急やむを得ず身体拘束する場合に必要な3要件
 1)切迫性・・今にも問題が起こるような状態になること。
 2)非代替性・・ほかの物で代わりになることが出来ないこと。
 3)一時性・・少しの間、その時だけ
 上記を行うときは、施設としての判断に基づき、本人や家族の同意を得て実施することが必要であり、
 記録として残すことが求められている。
②差別や偏見
③悪徳商法・詐欺(高齢者をねらった「なりすまし詐欺」や「悪徳商法」は、大きな社会問題になっている
④権利侵害への対応策  
 ・「身体拘束ゼロへの手引き」
  2001(平成13)年介護サービスの利用者に対する身体拘束をなくすために、厚生労働省の「身体
  拘束ゼロ作戦推進会議」が作成した、身体拘束を行わないケアの考え方と具体例を紹介した手引き
 ・地域包括支援センター
  さまざまな権利侵害に介護福祉職が個人で対応するには限界がある。このため、地域包括支援セン
  ターの社会福祉士などと連携して対応することも考える。

理解度○×チェック
1・介護福祉士が誠実に業務を行うことを明示した法律は、社会福祉法である。
  25回ー1問     解答・×     解説・社会福祉士及び介護福祉士法
2・ソーシャル・インクルージョンは、社会的な孤立や排除の問題に取りくむことを通じて、今日的な「つなが
  り」の再構築をめざしている。
  24回ー7問     解答・○
3・介護老人福祉施設で、やむを得ず身体拘束を行った場合には、拘束の理由などの記録が必要になる
  25回ー31問    解答・○


第26回過去問題  人間の尊厳と自立  2問 
問題1 以下の法律の自立に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1・児童福祉法では、児童養護施設における自立支援の対象を現に入所している児童に限定している。
2・社会福祉法第3条では、福祉サービスについて、身体機能の低下に応じ自立した日常生活を営むこと
  ができるように支援するものと、明記している。
3・老人福祉法では、その目的は、すべての高齢者が尊厳を保持し、その有する能力に応じて自立した日
  常生活を営むことができるようすることであると明記している。
4・「障害者総合支援法」では、すべての国民は、障害者等が自立した日常生活を営めるような地域社会
  の実現に協力するよう努めなければならないえお、明記している。
5・「ホームレス自立支援法」とは、ホームレスの自立のために、就業の機会の確保よりも生活保護法の適
  用が重要であると、規定している。
                                                   解   答 4
  解   説 1・×「限定」という用語はたいがい×になる。
            現に入所している児童だけではなく、あわせて退所した者についても同様
         2・×社会福祉法第3条においては、個人の尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立し
            た日常生活を営むことができるよう支援する。
         3・×老人福祉法第1条において、「この法律は、老人の福祉の関する原理を明らかにする
            とともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を
            講じ、もって老人の福祉を図ることを目的とする」と規定している。
         4・○
         5・×○○よりも○○という用語は大体が×になる。
            ホームレス自立支援法第3条第2項によると、自立のためには、就業の機会が確保さ
            れることが最も重要であると考えられている。

問題2 Aさん(74歳・男性)は、一人暮らしをしている。軽度の認知症があり、訪問介護(ホームヘルプサ
 ービスを利用している。1年前から近所に住んでいる親族に預金通帳の管理を頼んでいる。最近、家事
 援助のためにAさん宅を訪れた訪問介護員(ホームヘルパー)は、Aさんから、「親族が勝手にお金を使
 い込んでいるらしい」と聞いた。訪問介護員(ホームヘルパー)がサービス提供責任者と共に、最初に取
 り組むべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1・成年後見制度の利用を勧める。
2・民生委員に相談するように勧める。
3・親族に事実を確認する。
4・特別養護老人ホームの入所を勧める。
5・地域包括支援センターに相談する。
                                                  解    答 5
  解   説 認知症を有する利用者とのかかわりにおいては、その人らしさを大切にすることを基本にし
  つつも、認知症の特性を踏まえたかかわり方や配慮が必要とされる。認知症の中核症状や周辺症
  状を理解したうえで、社会資源を活用していくことが求められることを押さえておきましょう。
  したがって、5の地域包括支援センターに相談が正解











              

この記事を書いたプロ

英(はなぶさ)事務所

介護福祉士 小澤紀志子

山梨県甲府市国母8丁目25-15 ラフィーネ国母307 [地図]
TEL:055-232-0850

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
講演依頼

英(はなぶさ)事務所 介護教員・小澤紀志子への講師/講演依頼講師/講演会に関するお問い合わせ、ご依頼はhanabusa-jimusyo@rouge.plala.or.jp又は℡&fax055...

 
このプロの紹介記事
介護の資格試験を合格に導くプロ 英(はなぶさ)事務所 小澤紀志子さん

介護資格取得へ効果的な学習指導(1/3)

 高齢化に伴い、介護サービスを担う人材へのニーズが高まる中で注目されているのが、「介護のプロ」としての信用を高め、キャリアアップにつながる介護・福祉関連の資格です。ただ、「何を勉強したらいいか分からない」「勉強をする時間があまりない」「取り...

小澤紀志子プロに相談してみよう!

山梨日日新聞社 マイベストプロ

事務所名 : 英(はなぶさ)事務所
住所 : 山梨県甲府市国母8丁目25-15 ラフィーネ国母307 [地図]
TEL : 055-232-0850

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

055-232-0850

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

小澤紀志子(おざわきしこ)

英(はなぶさ)事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
科目群②人間関係とコミュニケーション・コミュニケーション技術

介護福祉士試験は、「科目群では必ず得点しなくてはならない」という規定があります。したがって、人間関係とコ...

[ 第30回介護福祉士試験直前対策講座 ]

「介護」の領域 介護の基本 科目群①

*介護の基本のポイントⅠ・介護福祉士と「介護の基本」 「介護の基本」は、①介護福祉士を取り巻く状況②介護福...

[ 第30回介護福祉士試験直前対策講座 ]

人間と社会の領域 人間の尊厳と自立 科目群①

*人間の尊厳と自立のポイントⅠ・介護福祉士と「人間の尊重と自立」 介護を必要とする利用者に対しては、最後...

[ 第30回介護福祉士試験直前対策講座 ]

「介護福祉士」という資格と試験の全体像

今年度も介護福祉士受験対策講座を始めます。介護福祉士養成校出身で、国家資格の介護福祉士試験を初めて受験す...

[ 第30回介護福祉士試験直前対策講座 ]

第13回認知症ケア専門士面接試験の流れ・ 体験談

皆様こんにちは!面接試験の受験票はお手元に届いているでしょうか?貴方の面接番号は何番でしたか?(筆記試験...

[ 第13回認知症ケア専門士2次試験概要 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ