コラム

 公開日: 2017-08-26 

第13回認知症ケア専門士論述(事例)について

皆様こんにちは!下記の通り論述試験の2つの事例が示されました。
初めて論文を書かれる方も多いかと思います。そんな方々のために、論文を整理するに当り、
2015/8/30・認知症ケア専門士2次試験(論述)についてのコラムをアップしてありますので、是非
そちらを参考になさってください。

事例問題 1
Aさん、70代後半、女性、要介護2、 鑑別診断なし
夫(以下夫)と2人暮らしをしている。関節リュウマチの加療中である。家事は主に夫が行っている。月に
1回の通院は他市で会社員の娘が行っている。娘から地域包括支援センターに下記のような相談・情
報提供があった。
・誰もいないのに「あそこから今出ていった子供はだれ」などと言う。
・「夫が浮気をしている」と言う。ただしそのような事実はない。
・「夫に似た知らない人が家に居座っている」と言う。
設問 
以上の情報から認知症初期集中支援チームの一員となったと仮定し、当初のケアをの方針を論述せよ。

論述内容のポイント
1・正確な認知症の診断の重要性
 ・鑑別診断がされていない。少ない情報から、誰もいないのに「あそこから今出てきた子供はだれ」と言う
  ありありとした幻視と言う特徴からレビー小体型認知症認知症の可能性が疑われる。
 ・まずはどのタイプの認知症なのか正式な診断を受ける必要がある。
 ・認知症の方は病院へ行くのを嫌がる人が多い。そんなときは、「私も今日お医者さんへ行く日なので、
  お母さんも一緒に診察してもらいましょう」等声かけを工夫してみる。
2・レビー小体型認知症の理解
 ・ありありとした幻視
 ・パーキンソン症状(四大疾病①振戦②筋固縮(歯車現象)③無動(顔の表情がなくなる)
  ④姿勢・歩行障害(前かがみの姿勢で転倒しやすい・小刻歩行等)⑤失神
3・認知症の原因疾患の特長を踏まえたケア
 ・仮にレビー小体型認知とされたなら、関節可動域訓練などパーキンソン症状のケアが必要となる。
  また、転倒と失神に注意する。転倒と失神の予測は難しいが、立ち上がる動作や方向転換などはゆっ
  くり行うようにする。転倒しても大きなけがに繋がらない環境を整えることも必要である。
 ・幻視が見られたときの対応として、本人の訴える内容は本人にとっても事実であり、実際に対処に困っ
  ているので否定せずに耳を傾ける。ただし、なんでも否定すると幻視を助長してしまう恐れがあるので、
  他に注意や関心がいくような対応をする。おなじような幻視を繰り返す場合は、そのひとの生活環境に
  問題があるのかもしれない。本人が快適に過ごせるようにあらゆる環境を見直すことも大切なケアであ
  る。
4・家族支援が必要になる。
 ・家族の支援を行うには、まずはその家族が何を望んでいるのかを知る必要がある。とかく、専門職はこ
  の方法が利用者にとって一番適切な支援であると決めて援助の展開をしてしまうことがある。家族が
  今まで行ってきた介護に対する考えや思いをくみ取り、否定することなく共感的態度で接することが重
  要である。そのためには、家族の話をじっくり聞く環境を整えることから始めるべきである。
5・区分変更申請する。(4・をわきまえたうえで)
 ・関節リュウマチで要介護2と認定されていて、認知症が加わるため介護度がアップする可能性がありま
  す。途中でも区分変更は可能のため、申請手続きをケアマネさんにお願いする。
6・夫の介護負担の軽減(レスパイトケア)サービスを利用する。
  介護度がアップする可能性があるので、介護保険サービスのレスパイトケア(認知症通所介護・ショート
  ステイ等)サービスを利用して、夫の介護負担の軽減と気分転換を図っていく。


事例 2
Bさん、80代前半、女性、要介護4、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲa
6年前にアルツハイマー型認知症と診断される。3年前にC特別養護老人ホームに入所する。3ヶ月ほど前
から食事の摂取動作が続かなくなる。また、半分ほど食事を済ませると、険しい表情で意図的にお茶や牛
乳などを床にこぼすような行動が見られるようになる。
設問 あなたがBさんの食事介助に関わるとしたら、どのような対応をしますか。またその理由を述べなさい。

論述内容のポイント
アルツハイマー型認知症とは
1・脳の変化
 ・脳の変化は症状が出現する十数年~何十年前に始まっている。
 ・脳にアミロイドタンパクという異常なタンパク質からなる老人班が出現し、変性した神経線維の束(神経
  原繊維変化)がみられる。これらが正常な神経細胞を脱落させて脳萎縮を起こすのが特徴。
2・アルツハイマー型認知症の症状
 1)記憶障害①体験の一部を忘れるのではなく、体験の全体を忘れる。また、昔の記憶(エピソード記憶・
  手続き記憶)はよく保たれるが、最近の出来事を覚えることはできない。(近時記憶の障害)
  ②単純な物忘れから始まり、何年もかかってゆっくりと進行していく。70歳以上の女性に多い
  ③徐々に深刻な物忘れになり、「お金を盗まれた」などの被害妄想が出現する。
 2)判断力低下・物忘れの進行と共に、字を書く、家計の管理をする、買い物をするなどの機能が低下す
   る。また、作話も見られる。
 3)見当識障害①時間の見当識②場所の見当識③人の見当識の順に進行する。
 4)失語・脳の萎縮の進行と共に記憶されていた言葉・意味も失われ、言語機能の低下が見られる。
 5)失行・運動や動作を正しくできない状態①観念失行(適切に道具を使えない状態)②着衣失行(正しく
  服を着られない状態)
 6)失認・見た物聞いたものの意味が分からない(食べられるもの・食べられないものを認識できない)
 7)実行機能(遂行機能)障害・料理の手順・片付けの仕方等が分からなくなる。
3・認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲa
 ・日常生活に必要な意思疎通の困難さが見られ、着替え、食事、排泄が上手にできない、時間がかかる
  また、徘徊、大きな奇声を上げる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為などの症状があり、1人暮ら
  しは困難である。
4・認知症ケアの原則
 1)高齢者の主体性の尊重 2)自己決定:本人が望む生活に向けての支援 3)生活の継続性の意義:
  これまでのその人らしい生活の継続への支援 4)自由と安全の保障:介護者との信頼関係と自由が保
  障される生活環境の構築 5)権利侵害の排除:ケアする側がサービスの内容や支援の方法が、本人
  の権利を侵害していないか。 6)心地よい生活環境:急激な環境変化を避け、心地よい生活環境へ
  の整備
5・食事介助で大切な事
 1)まず、食べる時の姿勢が大事①足底がしっかり床に着いていること。②テーブル体の距離は握りこぶ
  し1個程度とする。③少し前傾姿勢になり、食べ物がしっかり食道に行くようにごっくんの確認(そのため
  には、気道食道の位置・嚥下・誤嚥についての知識が必要)
 2)食べ物に関しても流動食・刻み食では味気ないので、施設の食事形態の主流はソフト食(食材を大き
  めに切り、歯茎で噛み切れるほど柔らかく調理する)であるための周知
 3)食事介助する前は、口腔体操等行い、お茶又は汁物から召し上がっていただく。ご飯とおかずは小さ
   じ一杯程度を口の中に入れ、よく噛んで飲み込んでいただく。そのとき必ず飲み込んだかを確認する。

以上の事からBさんの今の状態は、アルツハイマー型認知症の症状が相当進んだ状態にあり、見当識障
害・食べ物を食べ物と認識できない失認・摂食行動を上手にできない(遂行・実行機能障害)状態になっ
ていると想定しましす。介護職は、アルツハイマー型認知症の症状についてなぜそのような行動になるの
かエビデンスのある介護をして行かなくてはならない。食事の介護もしかりです。利用者の生命を維持する
のは何といっても食事だと思います。できるだけ口から召し上がっていただくのが一番ベストですが、呑み
込みが上手くできない人はトロミを付けて召し上がってもよいと思います。一度に大量食べられない方は、
おやつにゼリー・プリンなどで栄養補給されるのも良いのではないでしょうか。
最後に認知症のケアで介護者として覚えておきたいことは、認知症の人は色んなこと(食事をする・排泄す
る・服を着る・立つ・座る等)が分からなくなっても、感情(認知症の人にとっての感情は、あの人優しそう・
怖そうというもの)だけは最後に残るという事です。

以上文字数がかなり多くなってしまいましたが、参考図書認知症のケア標準テキストピンク色の認知症の
ケア事例集から事例問題と同じ様な事例を見つけて、論述に整理しても構わないと思います。ご自分のカ
ラーが出るように配慮しつつ仕上げていってください。

この記事を書いたプロ

英(はなぶさ)事務所

介護福祉士 小澤紀志子

山梨県甲府市国母8丁目25-15 ラフィーネ国母307 [地図]
TEL:055-232-0850

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