コラム

 公開日: 2017-11-08  最終更新日: 2017-11-12

人間と社会の領域 人間の尊厳と自立 科目群①

*人間の尊厳と自立のポイント
Ⅰ・介護福祉士と「人間の尊重と自立」
 介護を必要とする利用者に対しては、最後までその人らしい人生を送れるよう、過去の生活歴や現在
 の状況を個別に握することはもちろんのこと、未来に対して希望を持てるような生活支援が求められる。
 人間生活の営みは、実に多種多様であり、当然価値もさまざまである。人間の生き方を尊重する「尊厳
 」のあり方と、その人の個性を重んじ主体的な生活を実現していく「自立」のあり方を多面的に学んでほし
 い。介護福祉士は、」利用者の生命と人生に向き合うことになるため、専門職に求められる理念と価値
 をしっかり身につけなければならない。
Ⅱ・出題基準にみる出題傾向
 第29回試験においては、昨年同様、大項目である「人間の尊厳と自立」および「介護における尊厳の
 保持自立支援」から各1問出題された。人間の尊厳について、その歴史的背景を学ぶことは、利用者を
 深く理解するうえでも非常に大切である。自立は、具体的にどのように法律に規定されているのか、そし
 て、身体的、精神的、社会的な自の支援のあり方はどうあるべきか、専門的な知識とともに、幅広い教
 養も求められるため、日頃から問題意識をもって学習に取り組んでいくことが必要である。
Ⅲ・受験対策
 本科目は、介護実践の基盤となる教養や倫理的態度を学習する科目であるため、人間の尊厳と自立と
 いう考え方をきちんと理解したうえで、学習することが重要である。介護福祉士を目指す者として、社会福
 祉の理念や理想はどのようなものであるのかを、まずはテキスト等を熟読して、日本国憲法、社会福祉
 法を はじめとする各法律が制定されるまでの歴史的背景とその目的を理解しておきたい。さらに、事例
を読み解く力を養いながら、介護福祉士として、利用者の尊厳を守り、自立を支援するにはどうしたら良
いのかという具体的な対応力をみがいていく必要がある。人権や尊厳と言う普遍的な考え方が、法律に
どう位置付けられているのかを理解し、介護福祉士として、利用者の尊厳を守り、自立を支援するために
はどうしたらよいか、根拠に基づいて対応する能力を身につけていくことが重要である。さらには、高齢者
の虐待や悪質商法による権利侵害 の実態についても日頃から関心をもち、当事者の立場に目線を合
わせながら学習することが重要である。

*人間の尊厳と人権
・人間の尊厳と自立
 「人間の尊厳」:人間が個人として尊重されること
 「自律」:自立の前提となるもので、何かを目指す心のはたらき
 「自立」:自分の生活が、他人の助けや支配を受けることなく、一人の力で行うことができること
 「介護保険法第1条」:要介護者等が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営む
               ことができるよう、必要な給付を行う
 「障害者総合支援法第3条」:すべての国民は、障害者等が自立した日常生活を営めるような地域社
                    会の実現に協力しなければならない
・基本理念
 「ノーマライゼーション」:障害のある人も、地域で普通に生活できるようにすること
 「バンクミケルセン」:デンマーク・1959年ノーマライゼーションの考えを提唱・知的障害者の親の会
 「二ィリエ・B]:スウエーデン・世界にノーマライゼーションの考えを広めた・ノーマライゼーション8つの原理
 「糸賀一雄」:「この子らを世の光に」の著者・人間の発達保障(知的障害者)」
 「リハビリテーション」:単に機能回復訓練ではなく、全人間的復権を目指す
 「ソーシャル・インクルージョン」:障害のある人が学童期に達した時、地域の学校に通学する
 「ナショナルミニマム」:最低生活水準
 「ユニバーサルデザイン」:すべての人が使いやすいように施設、製品などをデザインすること
・人権運動の歴史
 「ワイマール憲法」:1919年・ドイツで、世界で最初に生存権の保障を掲げた憲法
 「自立生活運動(IL運動)」:重度の障害者であっても、必要なえんじょを受けながら生活する
 「障害をもつアメリカ人法」:障害を持つ人の社会参加を保障する
・日本国憲法と基本的人権
 日本国憲法は、1946(昭和21)年11月3日に交付されました。国民主権の原則に基づいて、「個人
 の尊厳」を基盤に「基本的人権の尊重」を掲げている。
・基本的人権のおもな規定と判例
 「第13条」「個人の尊重・生命・自由・幸福追求の権利の尊重」
 「第25条」「生存権・国の生存権保障義務」
  :すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、社会福祉・社会保障・
   及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
・「障害者基本法」2011(平成23)年8月改正:障害および社会的障壁(社会における事物・制度・慣
 行観念など)により、継続的に制限を受ける状態にあるものをいう社会的障壁の除去については、「合理
 的配慮がされなけれならない」と規定されている。
・「障害者差別解消法」平成28年4月施行:障害を理由とする差別の解消を推進し、すべての国民が共生
 する社会の実現に資することを目的とする。
*介護の基本的視点
 「アドボカシー」(権利擁護):利用者の権利を擁護すること
 「エンパワメント」:利用者自身が持っているら力を取り戻し、自分の力で物事を解決する能力を獲得
 「QOL」:人間らしい、自分らしい生活を送るなど、生活全体の豊かさの概念
 「身体拘束の禁止」:緊急やむを得ない場合を除く(必ず記録は残す)」
  ①切迫性:(生命または身体が危険にさらされる可能性が高い場合)
  ②非代替性:(替わりの介護方法がない場合)
  ③一時性:(一時的であること)

過去問題 01  「朝日訴訟の法的性格」
1956(昭和31)年当時肺結核で国立療養所に入所していた朝日茂氏は、単身で無収入であったため
に生活扶助(月給600円支給)と医療扶助を受けていた。長年、音信不通だった兄を福祉事務が見つけ
兄から月1,500円の仕送りが行われることになった。これにより福祉事務所は支給していた月額600円
の生活扶助を停止し、医療扶助の一部負担額として月900円の負担を求めた。このことが日本国憲法
第(  )条に反するものとして朝日茂氏は、1957(昭和32)年、厚生大臣の決定を取り消すことを求め
る訴訟を起こした。
この訴訟で焦点となったの日本国憲法(  )条が規定する権利として、正しいものはどれか
1・参政権
2・自由権
3・請求権
4・生存権
5・平等権
  解   答     4
  解   説  日本国憲法(  )条となっているが、これは日本国憲法第25条に定める「健康で文化
  的な最低限度の生活」を営むことができないとする、わが国の生活保護法上、もっとも著名な行政訴
  訟である朝日訴訟に関する問題である。

過去問題 02 「障害者差別解消法の理解」
「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1・「障害者総合支援法」の基本的な理念のもと、障害者の差別の解消を具体的に実施するものである。
2・障害者を身体障害、知的障害および精神障害のある者に限定している。
3・行政機関に対して、障害者に対する合理的配慮を法的義務としている。
4・差別について具体的に定義し、その解消に向けた措置等を定めている。
5・この法律以前に、障害を理由とする差別や不利益な取り扱いの禁止について定めた条例を制定した
  地方公共団体は存在しない。
  解   答    3
  解   説    2013(平成25)年6月に制定された障害者差別解消法は、①障害を理由に差
   別的取扱いや権利侵害をしてはいけないこと②社会的障壁を取り除くための合理的配慮をすること
   ③国は差別や権利侵害を防止するための啓発や知識を広めるための取り組みを行わなければなら
   ない等を定めている。

 







 
 

 

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