コラム

 公開日: 2012-02-12  最終更新日: 2014-06-04

福島県復興工事12

みなさんおつかれさまです!
チャリティー個展も1カ月後になりました。。。
いろんな方にご協力、応援いただき本当にありがたく思います。。。
引き続きご支援よろしくお願いいたします!

さて、去年から福島県での復興工事をこちらのコラムでお伝えしてきました。
山梨県は被災地から遠からず、近からずの距離にあります。現地での情報を知ってもらい、少しでも震災復興が身近に感じてもらえるように引き続き、自分なりの視点でお伝えしていきたいと思います。

今回のコラムは福島県田村市の、ある地主さんからの修復工事依頼についてです。

そのお宅の旦那さんは、山梨から来ている瓦業者(うちのことです)がいることは知っていたようですが、いろんな家の依頼が集中すると、逆に迷惑を掛けるんではないかと自宅の工事依頼を遠慮していたようです。(もちろん困り果てていたわけですが)
このような大震災の渦中にあり、我先にと考える方が少なくないなかで、この旦那さんのように冷静な判断ができ、まわりの状況に気遣える方がいることに正直驚きました。
依頼も義父のほうに、うちの状況など尋ね、落ち着いた頃でいいのでとのことでした。

佐藤棟梁と相談し、工事日程は11月初旬に決定しました。
さすがに、歴史のある地主さん。敷地内にはいくつも建物がありました。
そのなかで、母屋・石蔵・若夫婦の住む別宅・おばあちゃんの住む別宅の四棟が、今回の依頼物件です。
四棟のうち、おばあちゃんの別宅が一番新しい建物で、やはり被害はほぼ有りませんでした。
そのため、おばあちゃん邸は点検と気になる箇所の簡単な修理で済みました。
しかし、他三棟は、築年数・被害の度合いに違いはあるものの、棟部分が崩れる被害を受けてしまいました。


この違いは何でしょうか?


答えはこうです。三棟の屋根の施工法はいずれも昔の工法でした。棟に使われるのし瓦とのし瓦を結ぶ銅線を使わずに、ただ置いただけ工法です。母屋の棟は、のし瓦の段数がかなり高く、そのうえ棟飾り瓦が使われているにも関わらず、耐震銅線が使われていた痕跡はなく、棟瓦をモルタルで接着するだけという十分とは言えない施工でした。

見解としてはこうです。

「そりゃ崩れるさ。」


福島県において、いくつものお宅の修復工事を行ってきたわけですが、震災後の基本的な流れは、「低く、軽く」というものでした。
そのことに対して異論はありません。屋根の状況を詳しく把握している方は少ないですし、突発的な出費や、不安の解消等、話すより工事が先って状況ですから。

「現状で被害に遭ったんだから、単純に影響を受けにくい状態にしたい。」
もちろんですよね。

しかし、そんな状況の中で、ひとつだけ気が付いて欲しい事があります。

あなたの家と、屋根の条件が同じような家が向かいにあるのに、何故その家は被害に遭っていないのでしょうか。もしくは被害の差があるのでしょうか。
同じ敷地内において、被害がある建物と無い建物がなぜ存在するのでしょうか。(もちろん同じ屋根材です)


先ほどの旦那さんは着工前に、現状の施工がどうだったのか、一ノ瀬さんがこれから行う施工はどうなのかと、詳しい説明を求めてこられました。(当たり前のようでこういう人ほんとに少数です)
そして、「屋根は家屋の美観に重要なもので、家にはバランスってものがある。なるべくなら飾り棟なども含め現状回復をしてほしい。」と言われました。
母屋の鬼瓦は昔特別に作ったもので、なるべくならその鬼瓦を使ってほしいとも言われました。

要するにこういうことです。
「しっかりした施工方法であれば、現状通り棟を高く積んでほしい。」

これに関して異論がある方もいるでしょうね~
屋根は重くしてはいかん!というのが時代の流れですから。
しかし、なんでもかんでも屋根は瓦と言っているわけではありません。うちはお客様の依頼があればコロニアルでも、板金屋根工事でも請負いますから。
屋根を軽くすることの重要性もしっかり理解しているつもりです。

でも屋根の重さを語るには、その前に構造体の強度あっての話ですよね。
最終的に軽さを追求するあまり、屋根材が段ボールの紙になったとしても構造体が割り箸じゃ、震度3にも耐えられませんから…。
冗談はともかく、構造体に不安のあるかたは、早めに建物の耐震検査等行ってください。


話をもどして…
先ほどの旦那さん、打ち合わせ後にこんなこと言ってくれました。。。

「すべて一ノ瀬さんに任せるからあなたの思うようにやって下さい。」

うりゃ~~~。
こんなこと言われて熱くならない「職人」はいないでしょう~~。

ってことで、全棟瓦の耐震施工(建物の構造体から銅線を出してすべての棟瓦を縛りあげることです)・全棟瓦の接着施工(目立たないようにです)・棟土を耐水性南蛮漆喰仕様(普段は社寺仏閣等での仕様です)を、ちょっとお得価格でやらせていただきました。熱くなりすぎました…。
もちろん、棟のバランス・棟の勢い(鬼瓦付近での棟の反り)等は、一ノ瀬瓦工業仕様です。


うちの施工・仕上がりを、旦那さんは本当に感激してくださいました。
完工後に夕食に招かれまして、こんな一言をいただきました。

「一ノ瀬さん、絵をやるんだって?あんたが描いた絵だったら欲しいもんだ。一枚譲ってもらえないか。」


まったく…
この旦那さん、人の心をどんだけくすぐるんでしょうか…
いい加減にしてもらいたいもんです…
35にもなって頬を赤らめてなんとなくモジモジしてしまいました…

しかし、震災にも負けずに屋根や住まいにしっかりとしたポリシーも持ってる方がいることに感動しました!力になるつもりが、こっちが力をもらっている有り様です。。。
お茶の支度を毎日してくださった奥さん!意外と話好きだったおばあちゃん!いつもニコニコの若夫婦と、こっちは大まじめで仕事してるのに、振り向くまで話しかけてくるチビちゃんたち!
そして、人の心をくすぐる旦那さん!
短い期間でしたが、いろいろとありがとうございました!
また遊びにいかせてもらいます。。。

被災地には震災に負けず、元気で前向きな人たちがたくさんいます。
ほんとにたくさんの事を勉強させてもらってます。
今回は少し明るいコラムになりましたね。。。

それではまた。


修復依頼は大棟です。

裏の神社の高台から。

耐震銅線が見えます。


このお宅の施工写真こちらのページにも載せてあります。
http://mbp-yamanashi.com/ichinosekawara/column/2746/


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