コラム

 公開日: 2012-05-03  最終更新日: 2014-06-04

屋根の耐震補強工事 棟の後編

それでは棟の後編です。
いよいよ本題に入りたいと思います。

さて、みなさん棟って分かります?屋根のてっぺんに筒状のように瓦が並んでいるやつです。
鬼瓦が付いている部分というとわかりやすいかもしれませんね。
震災では、この棟と言われる部分が被害を受けやすいのはお伝えしてきました。それではなぜ、地震の影響を受けやすいのか。
それは簡単にいうと建物のてっぺんだからです。地震では上にいけばいくほど揺れ幅が大きくなりますよね。棟は屋根の一番高い場所にあるので、揺れに対して影響を受けやすいということです。

それではなぜ被害に差が生じるのか。
前編でお伝えした通り、和瓦の棟の被害がほとんどだと言いましたが、洋風瓦やコロニアル・板金屋根はなぜ被害が少ないのでしょう。
これらの棟は、建物の屋根(野地)に一体化するような施工方法をとっているためです。コロニアルや板金屋根の棟部分は、屋根材を葺いた上に、板等を屋根材に貫通させるように打ちつけ、野地に固定させます。その板等に棟材(板金)を釘留めして固定するので、棟自体は野地(建物)と一体化します(釘がしっかり留っていることが前提)。その他の施工方法もありますが、野地に固定することに変わりはありません。

洋風瓦の場合は、野地の棟部分に、棟金具という棟固定用金具をいくつも打ちつけます。その野地と一体化した金具の上に、棟専用の材木を乗せ、材木をすべての金具に固定します。この木材を、棟土でコーティングして、その上から棟瓦をビスで固定するため、やはり、野地と一体化されます。他の施工法であっても野地に固定することに変わりはありません。

これらの屋根材は、棟材を建物に固定するということを前提に施工されているのが特徴です。

それでは和瓦の場合はどうでしょうか。
和瓦の場合は、のし瓦というものを棟土を使って積んでいく「のし積み」という施工方法です。
建物の大きさや、バランス、使用する鬼瓦によって、この「のし」の段数は決まります。
屋根に使う屋根土は、どの屋根材であっても使用するのは粘土土を使います。乾いて固まると石のようになるあの粘土です。最近は南蛮漆喰という漆喰と土を混ぜたような、防水や強度に優れた土を使うのも主流になっています。粘りがあり、乾くと石のように硬くなるこれらの土を利用し、棟は積まれていきます。

この棟土は、のし瓦を固定するだけでなく、粘りを使って瓦を接着させる働きもあります。接着させ、固まらせてのし瓦を固定させる。その積み重ねにより、強固な棟は完成されます。

「棟自体が、瓦と土の重みがあり、筒状に一体化されているので簡単には崩れない。」
これは土の接着と固定だけに頼るということです。これが昔の和瓦の棟施工の考えでした。

実際に、今回の震災で被害に遭った棟施工のほとんどがこれに当てはまります。しかし、この施工法では、地震等の衝撃により、土とのし瓦の一体化が解かれたときに、瓦自体はなにも固定されていない状態になります。たとえ土がしっかりしていても、瓦を固定させているもの、掴んでいるものが無くなれば重力には逆らえません。

この施工法から進化した形が、銅線でのし瓦とのし瓦を縛るという方法です。この施工をしているだけで棟が大きく崩れたり、瓦の落下というような状態は格段に少なくなります。現在では、土の接着と固定プラス銅線の固定は欠かせません。しかし、これでもまだ衝撃には十分とは言えません。激しい揺れの場合、のし瓦とのし瓦は固定されていても土台部分は野地との固定はされてないため、土台から崩されてしまう可能性があるからです。

そして、さらに進化した現在の棟耐震工法は、やはり野地と棟とを一体化させるものです。今までは、のし瓦とのし瓦を縛っていた銅線ですが、この工法では、銅線を野地に固定し、野地から伸びたその銅線でのし瓦を縛りつけて積み上げていきます。これにより棟と野地とを一体化させることができます。下からの突き上げにも格段に強くなり、棟瓦の落下はもちろん、崩れる事態も軽減させることができます。

この工法が主流になったのは、全体的にみても最近のことのように思います。今回の震災復興で様々な被害に遭った屋根を見て来ましたが、屋根の工法はとても重要なものだと感じました。もちろんどんな建物でも倒壊するような地震では、保障はできませんが、自分たちが行ってきた現地でも震度6弱から6強の地震があった場所です。その強烈な揺れのなかで、工法によっては被害を免れた屋根も存在するわけです。建物の耐震強度は工務店さんに、屋根の耐震強度は瓦屋さんに、一度、点検依頼をされてはいかがでしょうか。

それではまた。











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